SDGsコラム

増加する森林認証

  • 2021.10.28

【当社取引先のシュタイコ社森林認証(CoC認証)ラベルと認証番号】

朝日新聞21年10月19日付20面で「東京五輪・パラ その先に 森林の国際認証取得急増」という記事が掲載されました。東京五輪・パラリンピックでは、関係施設に使用する木材製品が森林破壊につながらないようにするとの方針が示され、国際的に認められた森林認証を取得した木材製品を使用することが打ち出され、森林認証取得が急増したという内容です。

朝日新聞 21年10月19日付「森林の国際認証 取得急増」

ただ、すべての東京五輪・パラリンピック会場施設等での認証材採用は、現実的に国内での供給が難しいことから、全量が認証木材製品とはなりませんでした。
とはいえ、国際的に認められた森林認証を取得しようとの機運が一気に高まったことも確かです。東京五輪・パラリンピックでは主催者の明確な認証木材製品使用との原則が示されたことで、多くの認証木材製品が採用されました。


【国立競技場 林野庁ホームページ】

今後の課題は、住宅をはじめ建築需要や建築以外の需要分野で、需要家が認証木材製品を評価し、積極的に採用していくようになるのかということです。また、森林に対する森林認証(FM認証)にしても、木材流通に対する森林認証(CoC認証)にしても、取得及び認証維持審査にかかる費用は場合によって数百万円を必要とし、果たして費用に見合う効果が得られるのか疑問との指摘もあります。こうした諸点が日本では森林認証取得が進んでいない主因と考えられます。

国際的な森林認証は2つあります。FSC(Forest Stewardship Council® :森林管理協議会)とPEFC(Programme for the Endorsement of Forest Certification Scheme:PEFC森林認証プログラム)です。日本独自の森林認証制度としてSGEC(一般社団法人緑の循環認証会議)がありましたが、社会的認知度を高めると共に認証製品の国際的地位を確立するため、14年7月に PEFC に加盟し、16年6月に PEFC との相互承認を行いました。以来 SGECはSGEC/PEFC ジャパンという国際森林認証制度として再出発し、国内はもとより国際的な認証材供給ネットワーク(サプライ・チェーン)構築など様々な取り組みを行っています。

それぞれの認証状況は次の通りです。
PEFC:森林認証面積(FM認証)3億3000万ha、CoC認証1万2543件、うち日本はFM認証203万ha、CoC認証1500件(いずれも21年6月時点)。PEFC認証にはSEEC認証が含まれます。
FSC:森林認証面積(FM認証)2億47万ha、CoC認証4万331件、うち日本はFM認証41万ha、CoC認証1500件(いずれも19年12月時点)。

日本でのFM認証面積(2つのFM森林認証合計)は森林面積全体の10%強ですが、欧州では70%を超えるFM認証となっています。PEFCと相互承認する方式でカナダの森林認証CSAや米国の森林認証SFI、ATFSはPEFC全体で最も大きい認証面積となっています。

欧米の潮流は着実に、FM認証を取得した森林から供給される原材料に基づくCoC認証木材製品が流通の主体になろうとしています。見方を変えると、違法性の疑いがあるとか原産地が不透明な非認証木材製品はいずれ市場から排除される時代になるのだと思います。
当社でも連載していただいた一般社団法人持続可能な森林フォーラムの藤原敬代表は同紙へのコメントとして、「社会に(森林認証)制度が浸透するためには、認証材しか認めない、扱わないといった国や自治体、企業の本気度が試される」と述べています。

当社は21年7月末、「クボデラSDGsチャレンジ2021」と題したSDGs宣言および社内に立ち上げたSDGs推進委員会による討議録、各種エビデンス等を公表したところです。特にSDGs15番目にある「森の豊かさも守ろう」は私たちと密接にかかわる目標であり、この実現に向け、FSCおよびPEFC/SGECのCoC認証取得作業を開始しました。

認証取得後は、関係取引先を通じ、積極的に認証木材製品を普及させていく考えです。最初に掲載しましたFSCおよびPEFCのロゴは、当社取引先であるシュタイコ社(ドイツ)が取得したCoC認証です。
同社は木繊維断熱材をはじめとしたエシカルな木材製品を製造販売しており、特に断熱材は、グラスゴー(英国)で開催されたCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)会場近くに展示された脱炭素型モデル住宅Beyond Zero Homesの断熱材は、COP26の指定でシュタイコ社の木繊維断熱材が採用されました。
当社がCoC認証を取得することで、私たちが販売するシュタイコ社木繊維断熱材は森林認証の流通連鎖が実現します。多摩産材をはじめとした認証国産材製品や認証合板等も積極的に取り扱っていく計画です。

私たちは、皆様とともに需要家への森林認証の普及、浸透に取り組んでいく所存です。また、森林認証取得関係先とも一層、緊密な連携を取っていきたいと考えます。