SDGsコラム

全木連が合法木材動画を配信しました

  • 2021.9.8

一般社団法人全国木材組合連合会(全木連)はこのほど、令和3年度林野庁補助事業で、合法伐採木材の流通と利用促進のためのPR動画(消費者向け・木材関連事業者向け)を作成しました。合法伐採木材とは何か、なぜ、合法伐採木材の流通と利用促進が大切なのかなどをわかりやすく解説しています。イラスト下にYouTubeのURLを入れてあります。SDGsが普及するなか、木材利用でも持続可能性への配慮が求められる時代です。

「合法木材をご存じですか?」では、合法伐採木材とはどのようなものなのか、合法伐採木材の利用促進はなぜ重要なのか、消費者ができることは何かなどが解説されています。
合法伐採木材とは、法令に従って正しく伐採されたことが証明できる木材、言い換えれば「正しい手続きで生産された真っ当な木材」を指します。

合法伐採木材と対極にあるのは違法伐採木材です。違法伐採木材は、森林の劣化や減少をもたらし、地球温暖化や生物多様性の損失を引き起こします。また、森林に依拠する地域住民の森林を利用する権利を侵害し、水源の涵養、防災といった森林の多面的な機能を低下させます。さらに違法伐採木材の横行は不公正な貿易の原因となり、違法伐採で得られた資金がテロ等への資金供給原因ともなります。
違法に伐採された木材は全世界の森林伐採の15~30%を占めているとの報告も聞かれます。

2017年、「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」、通称「クリーンウッド法」が制定されました。同法では、木材関連事業者は、取り扱う木材等の原材料となっている樹木が、伐採された国の法令に適合して伐採されたものであることを書類等で確認することとあり、合法性の確認を各段階の事業者が確認することを求めています。クリーンウッド法の対象となる品目は、木材、木質建材、木製家具、パルプ・紙です。

消費者はどうしたら合法伐採木材であることが確認できるのか。ここでは合法伐採木材の登録木材関連事業者から調達することを勧めています。登録木材関連事業者とは、クリーンウッド法に基づき登録された事業者で、「合法伐採木材の利用を確保するための措置を講じる事業者」と定義されています。
対象事業者は木材等の製造、加工、輸入、輸出、販売する者、さらに木材を使用する建築、建設事業者、その他木材を利用する事業、流通に関係するあらゆる事業者とあり、各段階のすべての関係者が対象となっています。

消費者は、購入先の事業者に対し、合法性が確認できた木材が欲しいと要求し、供給事業者は合法性が確認できた書類を添付することで、消費者からの要求に対応します。同様に、製造や流通各段階においても、仕入れ先に対し合法性を確認できる書類等を入手することになります。合法性の連鎖です。

登録木材関連事業者となることの利点は、無登録事業者に対する差別化、当該事業者に対する信頼性や社会的評価の向上、企業ブランドの向上などです。

合法伐採木材であることの最も的確な証明は、FSCやPEFCといった国際的に認められた森林認証を取得していることです。合法伐採木材の制度で問題となるのは、特に輸入木材において、原産地国が発行した合法性証明書類等が、果たして信頼性のあるものかという点です。現実に、賄賂が横行するような国ではこうした書類の発行に賄賂が求められるケースも聞きます。FSC取得木材会社ですら、NGOから違法性を指弾されるケースもあります。
この動画でも、不透明な場合、合法であることを自ら追加確認していくことを提起しています。人権対応を含め、原産地国のリスク評価については第三者機関の報告等を参考にすることも大切だと思います。