SDGsコラム

東京都の森林認証取得支援事業募集

  • 2021.8.31

SDGs(持続可能な開発目標)という考え方が、行政機関だけでなく、金融機関や投資機関、教育機関、メディア、多くの民間事業体や市民社会にも広がっています。SDGsは2015年9月の国連サミットにて、国連加盟国193ヵ国で合意されました。「誰一人取り残さない」を理念とし、2016~2030年の15年間で達成するための行動計画です。SDGsは17の目標、それらを達成するための169のターゲットで構成されています。

SDGsを企業活動に落とし込んだ場合、「これからも必要とされる会社か」を問いかける投資判断において投資機関が着目するのは、過去ではなく、将来の企業価値です。社会の価値観が変化する中で、投資先の競争力が失われるリスクが存在するのか、あるいは長期的・持続的な成長が期待できるのか。SDGsやESG(=環境Environment、社会Social、組織統治Governance)の理念は、長期的な企業価値を判断するための手がかりとなります。

投資機関が知りたいのは未来における価値です。投資先の企業が語るビジョンは、社会の未来像と合致するものなのか、それを測る物差しこそがESGでありSDGsです。ESGはビジネスと社会の持続可能性(Sustainability)を脅かす問題です。ESG問題発生のメカニズムを経営課題として考えることが求められ、投資機関はESG問題を重視した企業活動を評価する方向性が顕著になっています。

SDGsの17目標の15番には「陸の豊かさも守ろう」があります。そして、目標15の詳細項目のなかには次のような課題も掲げられています。
・自社事業やサプライチェーンにおける森林破壊や森林劣化を減少させる取組みを行う。
・影響の少ない伐採技術で荒廃した景観の復元と復興を支援し森林関連資源の利用効率を改善する。
・森林管理認証および森林製品の認証を取得する。
・公共および民間の利害関係者と協力し、サプライチェーン全体で森林破壊の少ない商品を開発する。

特に違法伐採木材を市場から排除し、木材合法性について高度な透明性を担保するため、森林や木材製品流通について、森林認証の取得を推奨しています。

森林保全に対する考え方が大きく変化してきたのは、1992年6月にブラジルのリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議からです。この会議は「地球サミット」とも呼ばれ、京都議定書につながる気候変動枠組条約が採択され、今日のSDGsの源流となる持続可能な開発という考え方(リオ宣言)が出され、「森林原則声明」も採択されました。森林原則声明では、森林の多面的機能、森林における生物多様性という考え方が提起され、90年代後半からの森林管理に関するISO14001や国際的な森林認証であるFSC、PEFC、各国の森林認証制度に発展していきます。

公益財団法人東京都農林水産振興財団(東京都)では平成28年度から、木材事業者等が、森林管理認証(FM認証)および木材認証(CoC認証)取得を支援する「農林水産物認証取得支援事業(森林認証取得支援事業)」を実施しており、令和3年4月6日から、第9回の募集を行っているところです。同支援事業は、東京五輪における競技施設等で、森林認証材を安定的に供給することを目的として開始されました。今回の募集ではCoC認証が対象となっています。

CoC認証とは、FM認証を取得している森林から供給される原材料を販売、製材・加工、製品流通する当事者を対象に認証するもので、原材料から最終製品までのすべての段階でCoC認証を取得した場合、認証材の流通連鎖が完成することになります。この流通連鎖の一部でも認証がない場合は、認証材として需要家に販売することはできません。なお、需要家(例えば建設工事事業者、設計・デザイナー、一般消費者等)に認証は必要ありません。ですが、これらの需要家側から認証材を供給してほしいと求められるケースは年々増えています。SDGsの認知度向上と連動しているからです。

同財団の支援事業はいくつかの条件があります。
まず、支援対象者は、中小企業者等で、「東京の木多摩産材」取扱実績のある二次加工事業者または流通事業者等です。また、①東京都内に本社がある、または②工場、流通管理拠点等で、東京の木多摩産材取扱実績がある1 事業所以上が東京都内にあることなどです。

木材認証(CoC認証)の支援対象経費は、①認証取得にかかるコンサルタント契約料、②初回審査料、③年間公示料で、補助率は10分の10以内です。募集期間は令和3年4月6日~令和4年2月28日で、上記期間内に、事業完了および補助金支出が完結すること、また、30 事業体を受付けた時点、または予算枠終了時点で受付終了となります。

同支援事業の案内の詳細は下記URLでご確認ください
https://www.tokyo-aff.or.jp/uploaded/attachment/9039.pdf
同支援事業の実施要項の詳細は下記URLでご確認ください
https://www.tokyo-aff.or.jp/uploaded/attachment/3507.pdf
同支援事業のチラシです
https://www.tokyo-aff.or.jp/uploaded/attachment/3508.pdf

来年2月28日までに事業完了および補助金支出完結となっており、あまり時間はありませんが、森林認証取得意欲のある事業者様には、この機会でのご活用を提案いたします。当社では信頼できる認証機関および認証取得コンサルタントなどもご紹介することができます。
ぜひ、お問い合わせください。