朝日新聞21年10月19日付20面で「東京五輪・パラ その先に 森林の国際認証取得急増」という記事が掲載されました。東京五輪・パラリンピックでは、関係施設に使用する木材製品が森林破壊につながらないようにするとの方針が示され、国際的に認められた森林認証を取得した木材製品を使用することが打ち出され、森林認証取得が急増したという内容です。
朝日新聞 21年10月19日付「森林の国際認証 取得急増」 | |
ただ、すべての東京五輪・パラリンピック会場施設等での認証材採用は、現実的に国内での供給が難しいことから、全量が認証木材製品とはなりませんでした。
とはいえ、国際的に認められた森林認証を取得しようとの機運が一気に高まったことも確かです。東京五輪・パラリンピックでは主催者の明確な認証木材製品使用との原則が示されたことで、多くの認証木材製品が採用されました。
【国立競技場 林野庁ホームページ】
今後の課題は、住宅をはじめ建築需要や建築以外の需要分野で、需要家が認証木材製品を評価し、積極的に採用していくようになるのかということです。また、森林に対する森林認証(FM認証)にしても、木材流通に対する森林認証(CoC認証)にしても、取得及び認証維持審査にかかる費用は場合によって数百万円を必要とし、果たして費用に見合う効果が得られるのか疑問との指摘もあります。こうした諸点が日本では森林認証取得が進んでいない主因と考えられます。
欧米の潮流は着実に、FM認証を取得した森林から供給される原材料に基づくCoC認証木材製品が流通の主体になろうとしています。見方を変えると、違法性の疑いがあるとか原産地が不透明な非認証木材製品はいずれ市場から排除される時代になるのだと思います。
当社でも連載していただいた一般社団法人持続可能な森林フォーラムの藤原敬代表は同紙へのコメントとして、「社会に(森林認証)制度が浸透するためには、認証材しか認めない、扱わないといった国や自治体、企業の本気度が試される」と述べています。
当社は21年7月末、「クボデラSDGsチャレンジ2021」と題したSDGs宣言および社内に立ち上げたSDGs推進委員会による討議録、各種エビデンス等を公表したところです。特にSDGs15番目にある「森の豊かさも守ろう」は私たちと密接にかかわる目標です。
同社は木繊維断熱材をはじめとしたエシカルな木材製品を製造販売しており、特に断熱材は、グラスゴー(英国)で開催されたCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)会場近くに展示された脱炭素型モデル住宅Beyond Zero Homesの断熱材は、COP26の指定でシュタイコ社の木繊維断熱材が採用されました。
当社がCoC認証を取得することで、私たちが販売するシュタイコ社木繊維断熱材は森林認証の流通連鎖が実現します。多摩産材をはじめとした認証国産材製品や認証合板等も積極的に取り扱っていく計画です。
私たちは、皆様とともに需要家への森林認証の普及、浸透に取り組んでいく所存です。また、森林認証取得関係先とも一層、緊密な連携を取っていきたいと考えます。